細胞のすきまを埋めてくれる音楽:11/26波多野睦美・つのだたかしリサイタル@トッパンホール
よいコンサートとは、こういうコンサートのことをいうのでしょう。11/26(金)のトッパンホール、何日か前の記事に書いたとおり、波多野睦美さんとつのだたかしさんのリュートソング・リサイタルに行ってきました。
まず、お客さんが素晴らしかった──。この日はひさしぶりの“オール・ダウランド・プログラム”でしたが、「Court」「Night & Dawn」「Tears」「Love」と4部にわけられたプログラム構成を、来場者全員が理解し、ホール全体がふたりの、そしてダウランドの精神によって満たされたようでした。
演奏はといえば、身体の細胞と細胞のすきまに清らかな水がゆっくりと泌みこんでいくよう。「心にしみる」という文学的な表現よりも、もっと具体的でフィジカルな体験。ひとつひとつの細胞の埋めがたい孤独が、一時の充足を得て、自分が完全な存在と感じられる。ホールにいるすべての人がそうした思いでつながっている──そんな絶対的な体験でした。もちろんその孤独はホールを出たとたんにまた舞い戻ってくる(それもより強く感じられる)のですが、それでもぼくたちにはこの夜の「記憶」がある──そう思わせてくれる、かけがえのない一夜でした(音楽ライターの山尾敦史さんがこのコンサートのことを書いておられます)。
この日にあわせて作った書籍『ふたりの音楽』を買ってくださったみなさん、どうもありがとう。ほんとうによく売れました。同時リリースのCD『優しい森よ』(Amazon.co.jpにはまだアップされていないようです。ダウランド アンド カンパニイのHPをごらんください)をはじめ、ふたりのCDといっしょに本がお客さんたちの手に渡っていくさまを見るのは、とても幸福なことでした。ふたりの世界に、「音楽すること」とならんで「書くこと」もまたひとつの意味をもって根をおろした──そう感じられるのは、編集者としてなんと幸福なことだったでしょう!
この「記憶」を胸に、今日からもまた生きてゆけます!(おおげさ?) 波多野さん、つのださん、どうもありがとうございました![genki]
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Comments
Amazon.co.jpで『ふたりの音楽』のページを見ると、なぜか「品切中」!? もう売り切れたか!──きっとまだ倉庫に入っていないだけなんだろうなあ。まぎらわしいんですけど。[genki]
Posted by: genki | 2004.11.29 10:34 AM