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2005/11/18

《四人組とその仲間たち》Solo e duoの夕べ(2005/11/18@津田ホール)

新実徳英/2台のヴァイオリンのための《舞踊組曲─I Love Lucy─》
 大谷康子・白井圭(vln)
寺嶋陸也/《無伴奏チェロ・ソナタ》
 河野文昭(vlc)
金子仁美/《実在の空間》2人のフルート奏者のための
 小泉浩・西沢幸彦(fl)
西村 朗/《無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第1番》
     《無伴奏ヴィオラ・ソナタ第1番》
 佐藤俊介(vln/vla)
池辺晋一郎/《スネアは唸り、そして飛翔する》
 吉原すみれ(SD)

「全音現代音楽シリーズ」と銘うたれたシリーズの第12回。小生にとってははじめてで、プログラムに記載された5人(金子仁美・寺嶋陸也・西村朗・新実徳英・池辺晋一郎)のうち誰が「四人組」で誰が「その仲間」なのか、よくわからないまま会場に入りました。

プログラム冒頭に掲げられたエルンスト・ロートの言葉が、この演奏会シリーズの意味を端的にものがたっていると思いましたので、以下に引用します。「音楽出版社は芸術と実生活の、そして芸術家と公衆の仲介者として、音楽界のあらゆる現象につき、また芸術の精神的・物質的あり方について熟考しなければならない。その精神と金銭とを相応関係におくこと、それこそがこの道の使命であり、天職でさえある」──もって肝に銘ずべき至言であります。全音楽譜出版社の現代音楽にかける思いの“ブレのなさ”は同業の一員として、まぶしささえ感じられるものです。

演奏された6つの作品(西村さんのみ2作品で1ステージ)のなかでは、やはり西村作品の強烈さが他を圧する印象を残しました。一昨日も別の西村作品を聴いたばかりですが、名実ともにいまや日本の作曲界の中心、と言い切ってしまってよい存在であることが実感されます。
聴いていると知らぬ間に脳みそを乗っ取られてしまうような「禍々しい呪力」が西村さんの音楽にはあります。脳細胞の扉をすべて閉じても、容赦なく忍び込んでくる病原菌のような怖ろしさ──。ずいぶん失礼な喩えですが、そのようにしか表現できない“力”がたしかにあり、それに対抗できるだけの力をもった作曲家は、現在のところ日本には存在しないのではないか、とさえ思えます。この魔力に対抗しうる“清らかな音楽”(笑)が生まれてほしい、と思ってしまうほど。若手ヴァイオリニストの佐藤俊介さんの演奏も、鬼気せまるものでした。
それ以外では、新実さんの、恐らくはパーソナルなヴァイオリンとの触れ合いから生まれた小品が愛らしく、共感をもちました。

ちなみに「その仲間」は寺嶋さんでした。[genki]

◎追記
・新実徳英さんの著書をご紹介しておきましょう。カバーの(題字に隠れてしまっていますが)装画は横尾龍彦先生、題字は今道友信先生、デザインは久保和正さん。おすすめです。[2006/02/07]

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