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2005/12/10

三鷹天命反転住宅


 なかなか現代音楽の話題にたどりつかないのだが、ともかくは現代芸術ということでご容赦願いたい。三鷹の天命反転住宅について。

 荒川修作が、三鷹に新しい集合住宅を作るというのは前から知っていたが、ふとサイトで地図をみたら、我が家から自転車で10分程度の場所だと判明。天気もよかったので、さっそく休日に家族3人で覗きにいってみた。

 天命反転住宅 http://www.architectural-body.com/mitaka/

 東八道路からちょっと入ったところに、あっけなく発見。写真で見たまま、まさにそれ以上でも以下でもないといった外観だったが、強いて言えば思ったよりも小さめというところか。まだ誰も入居していないので、家の中もガラス越しによく見える。確かに床はごつごつした突起があって波打っているし、キッチンのあたりが、ごそっと窪んでいるのもよく分かった。

 この「天命反転住宅」に住むと、そのアンバランスな造形のために身体の眠っていた細胞が活性化し、結果として「超長生き」するということなのだが、そこら辺の基本的なメカニズムは荒川とマドリン・ギンズの近著「建築する身体」に詳しい・・・ようだ。「ようだ」というのは、この本、深く哲学的なようで、しかし到るところで辻褄があっていないような、つまりは例のごとくの荒川節に満ちており、結局、私は10分ほど立ち読みしただけで買わなかったからである。

 四方田犬彦の「ストレンジャー・ザン・パラダイス」には、ニューヨークのソーホーで仕事をする荒川修作の姿が紹介されている。実は私はこれを読んで初めて彼のことを知ったのだが、この本が出た80年代末の状況の中では、荒川の「前衛」芸術活動はひどく時代遅れのようにも思えた。ところが21世紀に入り岐阜の「養老天命反転地」がオープンしてからは、なんだか様々な場所で彼の名を目にすることが多くなった。そしてついには近所にこんな建物が出現したというわけだ。

 面白かったのは、天命反転住宅の斜め向いにマクドナルドがあり、そこに併設された子どもの遊び場(街道沿いのマックによくある、プラスティックのボックスがいくつも連なっているもの)が、色といい形といい、天命反転住宅と実によく似ていたことだ。あの類似には、なにか宿命的なものを感じる。マルクスを信奉する作家の饒舌な思考の果てにたどり着いた地点が、アメリカ的なチープの世界にそっくりというのは、一体いかなるものか。 [沼野雄司]

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