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2005/12/12

「作らないデザイン」

12/11(日)のNHK教育『トップランナー』のゲストはデザイナーのナガオカケンメイさん。「作らないデザイン」という独自のコンセプトに共感しました。
いわく、「デザイナーというものはきれいごとを唱えながら、むりやりにでも新しいものを作ってしまう存在である」(「三鷹天命反転住宅」もこれか?)。「作らない」というのは、ある意味、デザイナーとしてのアイデンティティを自己否定するコンセプトでもあるわけですが、そこにはナガオカさん一流の戦略があるようです。無農薬野菜を作るには、まず数年間かけて残留農薬を土壌からなくさなければならない。「デザイナーは新しいものを作る存在」という考え方は、いってみれば「農薬」のようなもの。時間はかかるかもしれないけれども、「作らない」ということをふつうに受けいれられるような土壌を作っていきたい──というナガオカさんの思想は、デザインにかぎらず、さまざまな分野に適用可能なアイディアだと思います。
小生の仕事である「出版」にしても、制作・流通・販売という「業界のしくみ」をなりたたせるために、新刊書をどんどん作り出さなければならない、という現実があり、「本って、そんなにたくさんなきゃいけないものなの?」という「身も蓋もない」疑問がフツフツとわきあがってきます。ナガオカさんが選んだ「よいデザイン」の品を売る(しかも、自分がデザインした商品は置かない)ショップ「D & DEPARTMENT」のように、「作らない出版社」ができればいいのになあ、と思ってしまいます。ほんとうに必要な少数の本を、息長く売ることができるような出版社──。とうぜん、「作らない勇気」「あえて語らない勇気」がそこには必要でしょう。でも、ぼくたちみんなが、少しずつそんなことを考えるだけでも、もうちょっと風通しのいい世界になるんじゃないかなあ。
ホスト役の山本太郎さんの的を射たツッコミにも、ちょっとびっくり。外見の印象で「肉体派」みたいに思ってたけど、なかなかどうして文化を語る視座ももちあわせた「知性派」でもあるようです。
ナガオカさんの「日記」が公開されています。興味のある方はコチラへ。[genki]

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