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2005/12/05

青春アミーゴ

 このところ気に入っているのが、「修二と彰」の「青春アミーゴ」だ。 最近のポップスでは珍しく、歌詞が物語調になっていて、つまりは故郷をとびだしたチンピラ(?)二人が都会で夢半ばにして死んでゆくというもの。

 もちろん、バカバカしい曲と言ってしまっても一向に構わないのだが、なかなか周到なのは、「アミーゴ」という、半分ギャグのようなスペイン語の単語と、それに見合った似非ラテン風なサウンド。このおかげで、歌詞では明言されていない舞台設定は、日本のどこかの地方→東京というよりは、メキシコ→ロサンゼルスといったあたりを連想させ、さらには安い歌詞とジャニーズの二人の青っぽい歌とがシンクロして、期せずして・・・いやおそらくは作り手の計算通りに、不思議なリアリティが生まれている。シチュエーションはやや違うものの、映画でいえば「真夜中のカウボーイ」の現代版のようなイメージ。

 毎日のようにクラシック/現代音楽の演奏会に足を運びながらも、ここで最初に語る音楽が「青春アミーゴ」になってしまうというのも、ナンな話だ。これは現代音楽が悪いのか、あるいは私の趣味が悪いのか(おそらく両方でしょう)。ただ、実感としていうならば、少なくとも昨今の現代音楽には「青春アミーゴ」のように、俗でチープな素材を確信犯的にひっくり返しながら、聴き手に引っかかりのある商品を作る技術や知性、そしてユーモアが欠けていることは確かだ。

 当たり前の話ではあるが、大衆音楽は正々堂々と俗情を扱いうる点で「得」である。しかし現代のほとんどの芸術音楽は、意外にも?この俗情を超えることができない。少なくとも語の定義上、これを超えることが「芸術」の使命であるはずなのだが、結果としては俗情以下のところで、ぐるぐる回っているというのが大半ではないだろうか。

 ・・・というあたりから、今日の状況についてつらつら考えていきたい。[沼野雄司]

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コメント

こんにちは。
小生、ほとんどテレビを見ない人間なのですが、ひょんなことで最近『野ブタ。をプロデュース』を知り、かなりハマってます。
ストーリーはけっこう明快ですけど、いわゆる「勧善懲悪」モノと違って、「悪」は「懲」らしめられないし、「善」を「勧」める、ってこともない。「善」は徹底的にマイノリティのまま(それもまた《青春アミーゴ》にリアリティをあたえる要素かと)。勧善懲悪のカタルシスが完全に欠落しているんですけど、妙にリアルですがすがしい。
原作も借りているんですが、次の最終回を見終わってから読もうかと思っています(ドラマとはかなり違う世界、ときいたもので……)。

投稿: genki | 2005/12/12 11:53

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Title:修二と彰『青春アミーゴ』 Release:2005/11/02 CDシングルとしては2005年唯一のミリオンセラーとなったのが、修二と彰『青春アミーゴ』である。この曲はドラマ『野ブタ。をプロデュース』(NTV系列)の主題歌として使われていたが、CDシングルでのミリオン達成...... [続きを読む]

受信: 2005/12/25 16:38

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