« onblo talk series 01「現代音楽はおもしろい!」その7──現代音楽と映画音楽〈1〉 | トップページ | モーツァルト、噂の交響曲? »

2006/02/02

武満徹の音楽

ピーター・バート著/小野光子訳『武満徹の音楽』が刊行されました。小生の担当書籍ではなく、まだ読みとおしておりませんので、どんな内容かについては、「訳者あとがき」から引用させていただきます。

 本書は、海外で出版された武満徹論のなかでも、初めて武満の全生涯にわたる創作活動を研究対象としたものである。発行以来、国内外の多くの研究者が論文に引用しており、今や作曲家・武満徹の研究は、本書なしに語れなくなっている。その主たる理由は主要134作品を134の譜例を用いて丁寧に解説していること、30作品にのぼる映画、舞台など付随音楽にも言及していること、過去の主要論文を踏まえて論じていることがあげられる。また、作曲家の生い立ちも交えて論じることで、論に人間的な温もりを加えていることも見逃せない。

そのほかに、つけ加えておくべきこととしては、第1章として「前史:西洋音楽がどのように日本に受容されたか」という章がおかれていることかもしれません。この章で著者は、アーノルド・トインビーの歴史観を援用しながら、「武満徹」という現象を準備した日本の状況を、説得力をもって描きだしています。

昨年は、広く長く読みつがれるであろう「武満伝のスタンダード」、楢崎洋子著『武満徹』(〈作曲家◎人と作品〉シリーズ)が刊行されました。同じく昨年刊行された小沼純一著『武満徹 その音楽地図』(PHP新書)は、「実践的リスニング・ナビ」ともいえる内容。
没後10年をむかえ、武満徹は母国においても、ようやく「クラシック」の仲間入りをしたといえるのかもしれません。[genki]

  

|

« onblo talk series 01「現代音楽はおもしろい!」その7──現代音楽と映画音楽〈1〉 | トップページ | モーツァルト、噂の交響曲? »

コメント

ピーターさんには在日時に何度かお会いし、インタビューもさせていただいたので、ようやく日本語版が出て多くの人に読んでもらえるのをうれしく思います。原語(英語)は難しかったので、最初のほうで挫折しましたから(泣)。海外ではいまでも大竹紀子さんの著書が生きていますけれど、ピーターさんの意見は、なかなかクローズアップされなかったイギリスにおける評価を知る手がかりになるでしょう。「日本では1980年代以降の作品があまり高く評価されていないようだけど、イギリスでは逆なんだ」と言っていたのが、とても印象的でした。

:没後10年をむかえ、武満徹は母国においても、ようやく「クラシック」の仲間入りをしたといえるのかもしれません。

それはどうでしょう。僕は疑問符ですね。あいかわらず「難しいこと書かないと認めない」みたいな風潮があるように思えますが。ロックしか聴かない知人が「Winter」を聴いて、作曲のきっかけとかオーケストレーションがどうのとかいうのはまったく関係なしに「この前、伊豆に行って真夜中にiPodで聴いたら、すごく良かった、感動した」と言ってました。そういう感覚的な楽しみ方をするリスナーが増えればなあ、と思います。ちなみに僕は長風呂するときに、「利休」の音楽をループにして流しています。

投稿: atyamao | 2006/02/02 20:51

山尾さん、コメントありがとうございます。

感覚的に武満を楽しむリスナーっていうのは、じつはすでに多いのでは? 山尾さんが例にあげられている方のように、むしろ、クラシック畑の意外のひとからのリスペクトはすごいと思います。

クラシック畑では、武満っていうのは、ある種「アンタッチャブル」な存在で、これまできちんとした批評の対象ではなかったのではないでしょうか? 《弦楽のためのレクイエム》聴いたストラヴィンスキーがどうの、っていう昔話でお茶をにごすくらいで、「認めたくないけど、世界的には認められてるひとだから、敬して遠ざけよう」という雰囲気だったのでは?

ピーター・バートさんや楢崎さんの著作により、これから正当な武満批評がおこなわれる土壌ができるのではないか、と期待しております。

でも、きちんと読まねば(汗)。

投稿: genki | 2006/02/03 00:03

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/29830/8431065

この記事へのトラックバック一覧です: 武満徹の音楽:

« onblo talk series 01「現代音楽はおもしろい!」その7──現代音楽と映画音楽〈1〉 | トップページ | モーツァルト、噂の交響曲? »