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2006/04/26

グレゴリオ聖歌の世界──CD付


◇リチャード・L. クロッカー[著]/吉川 文[訳]
 A5判・上製/オーディオCD1枚付/装丁:久保和正
 定価6,615円(本体6,300円+税)/ISBN4-276-11339-3
 2006年4月 音楽之友社刊

* * *

 グレゴリオ聖歌が「ヒーリング・ミュージック」の代表として、それまで縁のなかった人たちまでCDを買った時期がありました。「癒し」という言葉が市民権を得たころ、数年前の話です(たぶんそのころは「癒し系」という言葉は、なかった)。

 グレゴリオ聖歌というのは、強烈な「世界」をもっていて、たぶんその音を一瞬耳にしただけで、その独特の「世界」へと誘われてしまいます。その世界は、とうぜんのことながら、「カトリック」とか「聖堂」とか「ヨーロッパ中世」という、さまざまな属性からなっているのですが、ほかの音楽で、それだけのさまざまなイメージを、一瞬で喚起できるものというのは、あまりないのではないでしょうか?

 それゆえ、われわれは「グレゴリオ聖歌とはなにか?」という問いを意識化し、言語化するチャンスを、その一瞬で喪ってしまう、ともいえます。「神の秘儀」というような、もうひとつのイメージにくるまれて、その問いは、聖堂の残響のなかに永遠に眠ってしまいます。

 本書は、まさにその問いを問うことから始められ、それをつねに問いながら、注意深く、この独特の「世界」の秘密をひもといていく──そんな本です。

 付録CDとその解説は、この長く秘められていた世界を、明るい光のなかで検証するような趣。なんだか、魔法の種明かしをしているような感じもしますが、グレゴリオ聖歌というものを知るうえで、たいへん役に立つ資料だと思います。[genki]

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コメント

『礼拝と音楽』130号(2006年夏号)にて、青山学院大学大学院生の野川夢美さんが書評してくださいました。

投稿: ■書評など | 2006/07/14 18:38

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