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2006/07/14

ピストン/デヴォート 和声法

Harmony◇ウォルター・ピストン[著]/マーク・デヴォート[増補改訂]/角倉一朗[訳]
 B5判・上製(角背)/592頁/装丁:下川雅敏
 定価12,600円(本体12,000円+税)/ISBN4-276-10321-5
 2006年6月 音楽之友社刊

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 1941年の初版以来、48年、62年、78年、そして最新の1987年の第5版まで改訂増補されつつ版を重ね、アメリカの音楽大学や総合大学の音楽学部でもっとも広く使用されている和声法教本の全訳。最大の特徴は、和声法の理論と実習と分析が一体化していることで、一定の規則を示すだけでなく、つねに実作品の譜例を参照しつつ、規則や定型を現実の音楽から抽出しているため、大学などのテキストとしてはもちろん、独習にも最適の内容である。また和声にかぎらず、リズム・旋律・構造についても論じており、18世紀〜20世紀初頭(バッハからヴェーベルンまで)の西洋音楽のしくみを総合的に理解することができる(つまり、理論だけでなく、音楽史を学ぶことができる)。記述はきわめて簡潔明快で、各章末の実習課題も、通例のバス課題と旋律課題にとどまらず、さまざまな工夫がこらされている。

 以上、手間をはぶくため、「音楽之友社OnLine」から引用しましたが、その原稿もぼくが書いてるんだから、いいでしょ(笑)。

 内容については、上述のとおり。つけ加えるとすれば、下川雅敏さんによる美麗な装丁! ひさびさに「上製・角背」をやりましたが、さすが辞典なども数多く手がけてきた造本のプロらしく、格調の高いなかにも、ヴィヴィッドな感性を感じさせる、素晴らしいデザインです。写真ではよくわからないと思いますが、無数の銀のドットがちりばめられております。ああ、銀を使ってしまった……。専門的なことですが、金や銀の色は4色分解ではだせないので、「特色」として、4色=4版の上にもう1版重ねて刷るんですね。つまり5色扱いになるわけで、清貧志向(?)のわが社ではなかなか(ほとんど?)使わない色なんです。でも、さすがは下川さん、そこんとこはバランスを考えて、カバーおよびオビは、いちばん安いコート紙の指定をしてくださいました。コートなら重版のさいに「もうその紙は製造していません」なんてことをいわれる危険性もないし(最近、こういうケースが多いんです。本の品切れ・絶版みたいですね)。

 高いけれど、「芸大和声」ぜんぶ買うより安いです!(って、自社商品と張りあってどうする) 『総合和声』も2冊買うと「11,200円」(税抜き)だし(しつこいっ!)。

 でも、ほんとうにお得だと思いますよ。長く愛されてほしい、価値ある本です。[genki]

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コメント

『音楽の友』2006年9月号にて、小沼純一さんが紹介してくださいました。こうした理論書の書評がでることじたい、ひじょうに珍しいことですが、こういう本の書評を書けるひともひじょうに稀有であって、小沼さん以外には考えられません。深謝。

投稿: ■書評など | 2006/08/22 19:07

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