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2006/08/14

文部省唱歌on完璧なリズム・セクション?──ザヴィヌル・シンジケート(2006/08/11)

◆ルーツ・ミュージック・フェスティヴァル2006「ジョー・ザヴィヌル&ザ・ザヴィヌル・シンジケート」
 2006年8月11日(金) ブルーノート東京

◎メンバー
 ジョー・ザヴィヌル(キーボード)
 アジズ・サマウイ(ヴォーカル、パーカッション)
 アレグレ・コレア(ギター、ヴォーカル)
 リンレイ・マルト(ベース)
 ナサニエル・タウンズリー(ドラムズ)
 ジョルジ・ベゼーハ(パーカッション)

 + + + + + + + + + +

 ひさびさ、大興奮のライヴ。リズムの洪水に押し流されっぱなしの90分だった。

 ジョー・ザヴィヌルのライヴを観るのは、いまはなきウェザー・リポートが「ライヴ・アンダー・ザ・スカイ」(@よみうりランド・イースト)にでたときだから、もう20年以上前のことだ。ザヴィヌル御年73歳(!)。でも、まったく変わってない。むしろよりパワフルになったみたい。

 アフリカおよびブラジル出身者からなるメンバーのことは不勉強で知らないのだが、とにかくものすごいリズム・セクション。とくにマダガスカル出身のリンレイ・マルトというベーシストがいい。ザヴィヌルのベーシストといえばジャコ・バストリアスだが、あれほどアーティスティックではなく、もっとビート・キープに徹している。

 ザヴィヌルの音楽は昔からなんとも不思議な感覚だが、今回よくわかったのは、あの不思議さをいかんなく発揮するためには、完璧なリズム・セクションを必要とする、ということ。リズムが完璧だから、突拍子もないタイミングで炸裂するキーボードのコードが、たとえようのないスリルをうむ。ザヴィヌル以外全員がリズム・セクション、そしてザヴィヌルはまったく別のビートで、神の啓示のような一撃を振り下ろす──。

 あと、これも昔から変わらない妙に楽天的なメロディ。ことザヴィヌルにかんするかぎり、ブルージーという形容詞はまったく似合わないが、この不思議なメロディは、どう表現したらいいだろう。たとえば、ジャズの名曲に《チェロキー》というのがあるが、あれをはじめて聴いたときは、友人と大笑いしたものだ。なんか「いなたい」というか、およそジャズのカッコよさとは無縁の、文部省唱歌のように聴こえたのだ。ザヴィヌルのメロディは、その文部省唱歌を超弩級のリズム・セクションの上に載せたもの、といえるだろうか。たぶん本人にとっては、アフリカの歌の旋律を、そのままシンセで弾いてるのだろうと思うが……。

 最前列にHR/HMばりのヘッドバンギングをしてる奴がいたのだが、なにか不思議な動物を見るような目で、じっとその彼を見つめながら演奏しているザヴィヌルが、なんともおかしかった。[木村 元]

▼ブライアン・グラサー『ザヴィヌル──ウェザー・リポートを創った男』(音楽之友社)

▼ジョー・ザヴィヌルのCD

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20世紀最強ユニット、ウェザーリポートの実質上の中心人物、ジョー・ザヴィヌルが、自身のユニット、ザヴィヌル・シンジケートをしたがえて来日したので、ライブに行ってきた。ウェザー・リポートを、ジョー・ザヴィヌル(key),ウェインン・ショーター(sax)、ジャコ・パス...... [続きを読む]

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