間宮芳生の音楽(2006/09/30)
◆Voice 現代日本の作曲家と出会う・第1回「間宮芳生の音楽」
2006年9月30日(土)18:00 トーキョーワンダーサイト渋谷
◎プログラム/出演・演奏
[第1部]
対談「古くて新しい言葉と音楽の出会い」
間宮芳生×原田敬子(司会:岡部真一郎)
プレゼンテーション「間宮芳生、自作を語る」
[第2部]コンサート
間宮芳生/ユメタガイ・ナナグラテンチ・ツガイダン(1993)
首藤玲奈(sop)、佐久間聡一(vn)、洪鐘善(pf)
森下周子/third──based on“die aschanti”, written by R. M. Rilke(2006)
首藤玲奈(sop)、佐久間聡一(vn)、洪鐘善(pf)
ジョルジィ・クルターグ/カフカ断章 作品24(1986)より
吉川真澄(sop)、蓑田真理(vn)
クルターグ/7つの歌 作品22(1981)
吉川真澄(sop)、鷹羽弘晃(pf)
間宮芳生/声、ヴァイオリン、ピアノのための セレナードII(1986)
津島裕子(声)、蓑田真理(vn)、田中やよい(pf)
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トーキョーワンダーサイトが「若手音楽家支援プログラム」としておこなっているコンサート/ワークショップの新シリーズ第1回は、同時代音楽塾の企画・主催になる間宮芳生を迎えてのトーク+コンサート。18:00に始まり、終演は21:30を超える、「濃い」内容だった。
間宮氏といえば、やはり代表作《合唱のためのコンポジション》のシリーズが頭に浮かぶ。大学時代に同シリーズの《第3番》(1963、男声ア・カペラ)を歌ったことがあるが、氏のトレードマークといえる民謡をもとにした土俗性に、ひじょうに知的で洗練された構築性が、バランスよく同居しているのが印象的だった。ひとことでいって「クール」なのだ。この夜、第1部の対談のなかで、氏が「西洋のルネサンスのポリフォニーに大きな影響をうけた」と語るのを聴いて、その理由がつかめた気がした。
本日の収穫は、間宮氏の未聴の作品を聴けたことはもちろんだが、氏と親交のあるハンガリーの作曲家クルターグの作品を知ったことが特筆される。
とくに、ほんらいツィンバロンにあてられたパートをピアノ(鷹羽弘晃)で演奏した《7つの歌》に、音響の美しさ、切り詰められた表現の厳しさを感じた。西洋音楽がバロック時代以降たどったのとは逆の方向をもった〈洗練〉。むしろ日本人の感性に、より直接的にうったえるものではないだろうか。[木村 元]
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