« 2006年11月 | トップページ | 2007年1月 »

2006/12/21

小鍛冶邦隆の「Carte blanche」003|室内オーケストラの命運──東京シンフォニエッタ第19回定期公演を聴く

 6年ぶりに東京シンフォニエッタを聴いた(2006年12月15日、東京文化会館小ホール)。優れた演奏能力をもつ現代音楽アンサンブル団体の演奏である。ところで、私の印象はむしろこうした演奏行為の背後にある今日的な意味合いへと向かう。

 演奏された作品にかんしては、初めて聴く細川俊夫《旅VIII》以外は、なんらかのかたちですでに知る作品である。福士則夫《花降る森》は、私が主宰する東京現代音楽アンサンブルCOmeTで初演した作品で、そのさいの公演「室内オーケストラの領域III」で第3回佐治敬三賞を受賞した。また東京シンフォニエッタによる近藤譲《シジジア》と野平一郎《ドゥーブル》の初演を6年前に聴いている。近藤作品はスコアを通じてさらに知ることとなったが、野平作品の今回の改訂についてはたいへん興味深く聴いた。

続きを読む "小鍛冶邦隆の「Carte blanche」003|室内オーケストラの命運──東京シンフォニエッタ第19回定期公演を聴く"

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006/12/20

小鍛冶邦隆さんのコーナーが始まりました!

 すでにお気づきと思いますが、作曲家で東京現代音楽アンサンブルCOmeTディレクター・指揮者の小鍛冶邦隆さんのコーナーが始まっています。

 まとめてお読みになりたいときは、以下のURLをブックマークしておくと便利です。

 http://bloomingsound.air-nifty.com/ongei/kokaji/index.html

 これからの展開をお楽しみに![genki]

 + + + + + + + + + +

◎2006/12/25追記
 連載タイトルが決まりました。「小鍛冶邦隆の『Carte blanche』」です。「Carte blanche(カルト・ブランシュ)」という言葉は、フランスでときどき使われる言い回しで、署名入り白紙に自由に書き込むというところから、主催者から一任された制作者のコンセプトで自由に組まれるプログラムなどの意味もあるそうです。


▼小鍛冶邦隆のCD(by Amazon.co.jp)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

若尾裕『音楽療法を考える』


◇若尾 裕[著]
 四六判・上製/184頁/装丁:奥山和典
 定価1,890円(本体1,800円+税)/ISBN4-276-12269-4
 2006年10月 音楽之友社刊

続きを読む "若尾裕『音楽療法を考える』"

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006/12/19

「古楽特派員テラニシ」015──アーノンクールの長〜いリハーサルに潜入!

Dsc01938 古楽界の先駆者で、今やモダン楽器の世界にも多大な影響を与えている指揮者、ニコラウス・アーノンクールが11月、ウィーン・フィル、手兵ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス(CMW)などとともに26年ぶりとなる日本ツアーをおこない、旋風を巻き起こした。

 筆者は、京都公演前日の11月17日、大阪・いずみホールでおこなわれたCMW、シェーンベルク合唱団との、ヘンデルのオラトリオ《メサイア》の6時間におよぶリハーサルに密着し、その緻密な音楽創りを目の当たりにした。

続きを読む "「古楽特派員テラニシ」015──アーノンクールの長〜いリハーサルに潜入!"

| | コメント (1) | トラックバック (0)

2006/12/18

折り目ただしい演奏のたいせつさ──東京シンフォニエッタ(2006/12/15|東京文化会館小ホール)

東京シンフォニエッタ第19回定期公演
 2006年12月15日(金)19:00 東京文化会館小ホール

◎曲目
 福士則夫/花降る森(2003)
 細川俊夫/テューバとアンサンブルのための《旅VIII》(2006/日本初演)
 近藤 譲/シジジア──14楽器のための(1998)
 野平一郎/ドゥーブル──室内オーケストラのための(1999−2000、2006)

◎演奏
 指揮:板倉康明
 東京シンフォニエッタ

続きを読む "折り目ただしい演奏のたいせつさ──東京シンフォニエッタ(2006/12/15|東京文化会館小ホール)"

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2006/12/14

新版 中世・ルネサンスの社会と音楽


◇今谷和徳[著]
 四六判・上製/348頁/装丁:下川雅敏
 定価3,675円(本体3,500円+税)/ISBN4-276-11053-X
 2006年11月 音楽之友社刊

続きを読む "新版 中世・ルネサンスの社会と音楽"

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2006/12/11

「古楽特派員テラニシ」014──ピリオド楽器による「第九」

Pip_061130 ベートーヴェンの交響曲第9番《合唱付き》をピリオド楽器で演奏するステージが、11月30日、延原武春指揮により兵庫県立芸術文化センター大ホールでおこなわれた。わが国でもバロックや前期古典派の音楽をピリオド楽器で演奏する動きは定着してひさしいが、後期古典派となると、機会はまだ少ない。国内外から古楽奏者らを招いて組織したオーケストラ「ピリオド・インストゥルメント・プレイヤーズ(P.I.P.)」は、はたして、どのような響きがするのか──この試みに、筆者もヴァイオリン奏者として参加した。

続きを読む "「古楽特派員テラニシ」014──ピリオド楽器による「第九」"

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006/12/07

小鍛冶邦隆の「Carte blanche」002|現代音楽演奏における教育の役割とは──「競楽VII」本選レポート

◆第16回朝日現代音楽賞/第7回現代音楽演奏コンクール「競楽VII」本選会
 2006年12月3日(日)14:00 けやきホール(代々木上原・古賀政男音楽博物館内)

 + + + + + + + + + +

 先日、このブログでご報告した「競楽VII」第1次、2次予選を通過した9名が、12月3日(日)におこなわれた本選に出場した。結果の詳細については日本現代音楽協会のホームページをご覧いただきたい。この報告では、筆者がコンクールを通じて感じた、現代音楽演奏の問題にふれてみたい。

 第1位・朝日現代音楽賞を受賞した間部令子(フルート)は、すでにアメリカで現代音楽演奏のキャリアを開始しており、Ph. ユレルの《エオリア》や湯浅譲二《ドメイン》において自在な演奏をみせてくれた。また、木下大介(フルート)も審査員特別奨励賞を得るなど、日本におけるフルートによる現代音楽演奏の水準の高さを示した。第2位のピアノ・デュオ、藤井隆史&白水芳江は、古典的意味における演奏水準の高さのみならず、G. クラム《天体の力学(マクロコスモスIV)》でみせた現代音楽演奏の専門的な能力も説得力を感じさせた。

 第3位の高校3年生、見崎清水は、ブーレーズ《12のノタシオン》を演奏して聴衆賞を獲得した小学6年生の奥田ななみと同様、ブーレーズの《ピアノ・ソナタ第1番》を堅実に弾き、他の演奏曲──デュティユー《コラールと変奏》や野田暉行《オード・カプリシャス》──における古典性の延長線上に現代音楽を捉えている(彼女たちにみられるように、現代音楽でも古典同様に暗譜演奏が普通となったといえる)。

 とりわけブーレーズの音楽には、正確なソルフェージュ能力と高度な楽器演奏技術が求められるので、あるていどの年齢に達してから現代音楽に興味をもつといった自発性よりも、基本的能力の訓練期間にこうした音楽に適応する能力を習得させる必要がある。学習者の素質のみならず、現代音楽も含めたレパートリーを教えられるかどうかといった教師の資質が問われるといえよう。

 現代音楽を古典的レパートリーの延長線に位置づけ、ソルフェージュ訓練にかんしても、現代音楽の読譜や演奏に必要な能力にいたるまで学ばせる必要がある。10代前半で古典同様に現代音楽にも演奏能力をもつということは、一般的ではないとしても、けっして特別なことではない。

 もちろん現代音楽の演奏家には、さらなる未知の音楽の可能性を追究することが求められる。しかしながら現代音楽ファッションでない、同時代の音楽に実質的にとりくむことを可能にする能力は、個人的資質よりもむしろ、教育の質の高さに求めなければならない、ということを感じさせた現代音楽演奏コンクールであった。[小鍛冶邦隆(作曲家)]

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2006/12/03

日本音楽学会全国大会「武満パネル」の要旨

 今年の日本音楽学会全国大会におけるパネル・ディスカッション「武満徹と日本の作曲」の要旨が、以下にアップされています。

 http://www.design.kyushu-u.ac.jp/~sn/msjq2006/takemitsu.html

 中村滋延氏の「(同時代の作曲家のなかで)なぜ武満が群を抜いて高い評価を得るに至っ たか、あるいはその評価は正当か」という問題設定、小鍛冶邦隆氏の「武満の音楽の特徴は、彼が受けた西洋音楽の教育の不全に起因するものではないのか」という指摘、長木誠司氏の「武満徹論は氾濫しているが、武満徹研究はまだなされていない」という指摘、佐野光司氏による武満の自筆譜の管理にかんする現実的な問題提起など、興味深い議論がなされています。[genki]

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2006年11月 | トップページ | 2007年1月 »