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2007/01/29

片山杜秀的日常〈009〉──2006年12月1日(金)

2006/12/01

●今日の起床
6:15 於大阪。
※前日晩、関西フィル定期(於ザ・シンフォニーホール)で大澤壽人の小交響曲の戦後初演奏を聴き、そのまま大阪泊まりだった。

●今朝方の夢
大学の教室に居て、多田督知(実在の日本陸軍軍人)の日本戦争學の講義を最前列で聞いている。私は多田の顔を知らない。あとで思い出してみると、夢の中での多田の姿かたちは、松竹蒲田の俳優、奈良真養そのままであったような気がする。その、奈良の扮しているかのような多田大佐は、テキストを捲っていて頁の欠損を見つけ、これは検閲によって破かれたもので自分の責任ではないと延々と弁明しだし、授業は先に進まない。困ったものだと思って、ぼんやりしていると、教室は廃工場に変じ、今度はそこでオペラの実習をするという。オペラといっても、1960年代の暗黒舞踏のような感じで、周囲に居る人々は、みな、襤褸布を纏っているだけだ。ピアノ一台あるわけではない。私の役はザラストロだという。稽古は始まったらしいが、どこがオペラなんだか、ときおり誰かがぶつぶつ言うだけである。輪になってどうどうめぐりをしている連中も居る。そのうち自分の歌う番になった。歌詞も旋律も知らないので、持っていた白墨で地面に円を描き、その中心に向かって無言で頭からどっと倒れてみた。そうしたらみんなが寄り集まって上に倒れてくる。そこで歌った。「苦しい、やめろ、おまえら……。」これが私のためのアリアだったようである。歌えたので、とても嬉しくなった。みんなも笑っていた。

●今日の観光
6時45分、ホテルに直近の大阪駅に、購入済みの新幹線指定券の時間変更をしに行く。みどりの窓口に並び、暇だからあたりを窺ってみる。そうしたら駅構内の人影が目に見えて増してくるのが分かる。ラッシュ・アワーの前奏だ。とても懐かしく思った。小中高の12年間、東京都心のラッシュ・アワーを体験し、そのあとの人生でもラッシュ・アワーと縁があるだろうと思っていたのに、いつの間にかやくざな稼業になっていて、この時間帯の雑踏と縁遠くなっている。それが無性に悲しくなり、すぐホテルに戻ってチェック・アウトすると、大阪駅や阪急梅田駅や新大阪駅の構内を転々とし、コーヒーを飲んだりトーストを食べたりしながら、新幹線に乗る8時半頃まで、人の行き来を飽かずに眺めていた。都会の記録映画にはつきものの、朝の群集の光景を、生で、しかもその内側ではなく外側から、これほどまでにしげしげと見たのは、生まれて初めてかもしれない。非常にスペクタキュラーであり、大いに高揚した。

●今日の購入古書 
△茅原華山/国民的悲劇の発生/日本評論社.1918
△鰺坂国芳/思想問題と教育/集成社.1919
△深作安文/外来思想と我が国民道徳/右文館.1920
△湯原元一/思想問題の側面観/京文社.1921
△深作安文/続外来思想批判/右文館.1923
△高田保馬/人口と貧乏/日本評論社.1927
△新興文学全集11(英国篇1)/平凡社.1928
※鑓田研一訳のバーナード・ショー「非社会的社会主義者」、大宅壮一訳のH・G・ウェルズ「靴の悲哀」等。
△新興文学全集13(米国篇1)/平凡社.1928
※ポール・ケートと高津正道共訳のシンクレア「石油」等。
△新興文学全集23(露西亜篇2)/平凡社.1928
※蔵原惟人訳のファヂェーエフ「壊滅」、井田孝平訳のレオーノフ「ペトウシイハの没落」、杉本良吉訳のロマーノフ「愛する権利」等。
△新興文学全集24(露西亜篇3)/平凡社.1928
※黒田辰男訳のセミョーノフ「飢」等。
△ラッコ(千葉亀雄訳)/戦の人々/平凡社.1930
△岡本瓊二/思想問題講話/第一出版協会.1930
△安部磯雄/産業奉還論/千倉書房.1932
△杉森孝次郎/社会倫理学概説/三省堂.1932
△紀平正美/日本精神に関する一考察/章華社/1933
△日本精神講座第九巻/新潮社.1934
※斎藤実、斎藤茂吉、佐々木信綱、蓑田胸喜、松永材、高須芳次郎等執筆。
△誰でも知りたい今日及び明日の話題/月刊誌「現代」1935年1月号別冊
※清沢洌がニュー・ディール政策を、四王天延孝が現代戦と都市空襲の問題を、平田晋策がソ連の軍備を、笠木良明が満州問題を、長野朗が農本主義を、満川亀太郎がインド情勢を、解説している。
△旅行必携「旅窓に学ぶ」東日本篇/ダイヤモンド社.1936
△月刊誌「日本評論」1936年8月号
※長谷川如是閑「日本的文化感覚の特徴」、猪俣津南雄「現段階に於ける都市と農村」、谷口吉彦「貿易悲観説」、杉山平助「現代剽窃論」、永雄節郎「国語・国字の問題」、大宅壮一「新官僚と新社員」、室伏高信「二・二六事件以後」、室伏や東恩納寛惇らの南方問題座談会、山根銀二「日本的作曲の問題」等。
△浅野晃/時代と運命/白水社.1938
△新農村の建設-大陸に分村大移動/朝日新聞社.1939
△善隣協会、善隣商業学校編/世界の動向と東亜問題/生活社.1941
※林銑十郎、松井石根、大川周明、田中香苗、宮本武之輔、等々の講演集。
△羽田隆雄/体育の理念/目黒書店.1941
△吉川兼光/全体主義十講/刀江書院.1941
※刀江書院の社長は尾高尚忠の長兄、尾高豊作。
△仲原善徳/比律賓紀行/河出書房.1941
△中山太郎/戦争と生活の歴史/弘学社.1942
△中山太郎/国体と民俗/東洋堂.1942
△岡田強/神経と生活/青山出版社.1942
△薩摩雄次/欧州の首都伯林より/皇国青年教育協会.1942
△大仏次郎/阿片戦争第一部/モダン日本社.1942
△警察講習所編/警察講話録/警察講習所学友会.1943
※講話者は筧克彦、平泉澄、菅原兵治、石黒英彦、吉川英治など。
△植村鷹千代/現代美の構想/生活社.1943
△シェンチンガア(藤田五郎訳)/金属(上)(下)(独逸新興生産文学)/天然社.1943
△嶋岡七郎/百姓春秋/西ヶ原刊行会.1943
※橋本伝左衛門序文。
△俳優座公演「幽霊はここにいる」プログラム/1958
※表紙写真は三島雅夫。千田是也と安部公房の対談、椎名麟三と遠藤周作と大江健三郎と田中千禾夫の座談会、小沢栄太郎と三島雅夫の文章など。ちなみに、この芝居の音楽担当は黛敏郎だが、挿入歌楽譜等の掲載は残念ながらない。
△清水雅/夢のたわごと/梅田書房.1966
△川内康範/恍惚/廣済堂出版.1974
△石田瑞麿/極楽浄土への誘い--往生要集の場合--/評論社.1976
△野口武彦/近代日本の恋愛小説/大阪書籍.1987

※11:45〜13:30 神保町の古書会館にて。

●今日の購入CD(composer/title/performer/label)
△enescu/oedipe/hobson/albany
△thea musgrave/chamber music for clarinet vol.1/samek/clarinet classics
△michael denhoff/campanula/denhoff/cybele
△ezra laderman/piano sonata no.2 etc/louise-turgeon/albany
△mario davidovsky/synchronisms 5.6.9.etc/speculum musicae/bridge
△luc brewaeys/talisker/champ d'action/megadisc
△kutavicius,balakauskas,etc/lithuanian chamber music/hustedt/guild
△irwin bazelon/symphony no.1 etc/farberman/albany
△fjodor druschinin.etc/sonata for viola solo,etc/claude lelong/dux
△pierre bartholomee/le point nocturne/cypres
△dieter ammann,etc/gehoerte form,etc/mondrian ensemble/mgb
△gordon mcpherson/detours/psappha/metier
△sadie harrison/the light garden trilogy/lontano/metier
△robert ward /apparachian danses and ditties/sarah johoson/albany
△stefan saefsten/freedom for the prisoners/rebecca davant/nosag
△jan wroblewski/altissimonica/henryk miskiewicz/polskie radio
△oskar blarr/organ works/worfgang abendtoth/freiburger musik forum
△valen/violin concerto/camilla wicks/biddulph
△gnessin,achron,etc/jewish songs/schneiderman/haenssler
△khachaturian/funeral ode in memory of lenin/constantine orbelian/delos
△joel chadabe,etc/florida electroacoustic music festival/emf
△譚盾、陳其鋼、ほか/contemporary music for traditional chinese instruments/delos
△fridthjov anderssen/organ works/drage/euridice
△ernstalbrecht stiebler/...im klang.../anzellotti/hat art
△frigyes hidas/works for symphonic band/koninklijke militaire kapel/band music center
△ladislav kupkovic/chamber works/nao higano/diskant

※渋谷某店にて。全部特売品。17:15〜:17:45

●今日の劇場
▼日本オペラ協会公演 別宮貞雄「葵上」(改訂版の初演)
 めぐろパーシモンホール
 開演18:30 終演20:40 

 指揮:若杉弘 
 演出・美術:岩田達宗
 歌手:郡愛子、大貫裕子、村上敏明、ほか
 管弦楽:東京ニューフィルハーモニック管弦楽団
※このオペラの初演は新宿文化センターだった。夏の夕下がり、歌舞伎町を抜けて行こうとしたら、キャッチバーに捕まった。袖を引っ張られ、強引に店内に連れ込まれる。「あの、僕はまだ高校生で…」「お客さん、冗談はよしてくださいよ」「ほら、学生証だって持ってる」「えっ、そんな嘘ばっかり。まあ、飲んでいってよ」それからが大変だった。「本当に高校生なんだ! オペラに間に合わなくなる!」と騒いで、やっとの思いで解放してもらい、ギリギリでホールに駆け込んだ。そんなせいもあるだろう。当日の舞台と音楽はよく覚えている。渡邉暁雄の指揮姿は今も目に鮮やかだ。あれから四半世紀経ち、高校生は四十男になったが、趣味は変わらず、また「葵上」を観ている。進歩が無いというべきか、なんというべきか。そんなことを考えていたら、オペラはあっという間に終わってしまった。

●今日の読書
△的場徳造/コルホーズ

●今日のCS録画
△映画「エノケンのざんぎり金太」(山本嘉次郎監督、♪栗原重一)
△映画「遊侠の剣客 つくば太鼓」(深田金之助監督、♪小沢秀夫)
△テレビドラマ「新選組血風録」第26回(♪渡辺岳夫)
△テレビドラマ「銭形平次」第309回(♪阿部皓哉)
△テレビドラマ「破れ傘刀舟・悪人狩り」第53回(♪木下忠司)
[片山杜秀]

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