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2007/04/14

ご報告

 ずいぶんとひさしぶりの更新となりました。ここのところ、身辺が激動しており、そのつど報告することもできずにおりました。ようやく落ち着いてきましたので、とりあえずいまご報告できることを書かせていただきます。今回の記事はそういうわけで、きわめてプライベートな話題となりますが、お許しください。

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 この3月末をもって、まる19年間勤務した株式会社音楽之友社を退職しました。入社いらい、じつに18年間人事異動というものを経験せず、ひたすら書籍をつくりつづけました。いったい何冊くらいつくったのかと、先日数えてみたところ、ちょうど200を超えるくらい。最初の数年間は右も左もわからず、1冊の本をしあげるまでに半年くらいかかることもよくありましたし、バブルまっただなかのまだのんびりした時期だったこともあり、年間3〜4冊というペースでしたが、ちょうどバブルがはじけたころから年間に手がける冊数が増え、ここ数年間は年15冊くらいのペースに。かといって、会社の業績がそれに比例してよくなるわけでもなく、「働けど働けど」スパイラルにみずから飛び込んで、自分の首を絞めるような数年間ではありました。世間と隔絶したような「音楽書」の世界ではありますが、じつはなんとも世の中の動きをそのまんま反映したような編集者生活を送っていたというわけです。

 昨年3月末に初めての人事異動を経験。音楽之友社は高校生のための検定教科書をつくる3社のうち1社ですが、その教科書を担当せよとの下命。もっていた膨大な数の企画を整理し、引き継げるものは他の社員に引き継ぎ、自分がやらないとまずい企画だけをこなしながら、教科書の仕事が始まるのを待っていましたが、会社のほうも異動は決めたものの体制が整っておらず、けっきょく1年間は宙ぶらりんな状態で放っておかれたわけです。人間、そうなるといろんなことを考えるもので、blogの運営は精力的におこないながら(笑)、自分にできることはなにか、何をするべきなのかといったことを、くりかえし意識にのぼらせながら日々を過ごしていました。

 考えてみれば、この年にして、かつて大学を留年したときに経験したような「超モラトリアム生活」を送ったことが、退職を決断するにあたって、ひじょうに大きな要因となりました。いままで、立ち止まってものを考える時間なんかなかったなあ、とつくづく思います。その意味で(どんな意味だ)会社には感謝しなければなりませんね。

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 さて、ぼくのだした結論は、きわめて単純なもので、これからの後半生も本をつくりつづけていこう、というもの。なんだ、それなら別に辞める必要はないじゃないか、といわれそうだし、そういう選択肢もあるかもな、と思ったこともたしかですが、いったん「会社を辞めて、自分の思いどおりに本づくりをしているワタシ」をイメージしてしまってからは、すべての他の選択肢が色あせて見えてしまうわけです(「思いどおりに」本をつくることなんか、どだい無理だということは、あとになってだんだんわかってくることですが)。

 辞めることを明らかにしてからは、会社のいろんな方が、翻意をうながしに、代わるがわる声をかけてきてくださいましたが、みなさんのおっしゃることはすべて納得し、感謝しつつも、「でも、もう決めちゃったんだもん」というこどもみたいな頑なさでお断りする、ということがつづきました。そうすると「辞めてもいいことないよ」と説得しにこられた方が、「いいなあ、自分も辞めたくなった」ともらして帰っていかれるんですよ(笑)。なんだか申し訳ないなあと思いつつ、みんな自分をイメージする時間がもてないでいるだけなんだろうなあ、と思っておりました。

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 さあ、これから──ですが、ご報告はもうちょっとお待ちください。このblogをどうするかということも含めて、あと2、3カ月のうちにきちんとした報告をするつもりです。[genki]

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コメント

お疲れ様でした。
これからも素晴らしい音楽の本を
作り続けてください。
楽しみにしています。

投稿: くま | 2007/04/20 19:05

「くま」さん

心のこもったコメントをありがとうございます。
自分に何ができるものやらわかりませんが、好きな本を作りつづけていきたいと思います。

投稿: genki | 2007/04/20 22:19

木村様

かつて一冊お付き合いいただいた者です。ブログをはじめられたことはお知らせいただいていたのですが、わたしはポピュラーの人間で(60年代、ハリウッドというキーワードで思いだしていただけるでしょうか)、こちらは敷居が高く、ご無沙汰しておりました。
だれしも、ときには環境を変えたほうがよいと考えている人間でして、節目節目で「辞め」たりすると気分一新になり、(たとえ生活上の苦難はあっても)人生もまた楽しくなるだろう、というぐあいに、木村さんのご決断も脳天気に受け取っております。新たな場所でのご活躍を期待しております。
思うところがあって、わたしも音楽のブログをはじめました。リンクを書いておきましたので、そちらのほうにもお越しいただければ幸甚です。メールをさしあげることができず、「営業」みたいなことになってしまい、恐縮しつつ退散します。

投稿: Hollywood Beat | 2007/07/05 08:07

今日、このブログを初めて拝見しました。
現代音楽に関する対話、とても面白かったです。
紹介されている本も読んでみたいものがたくさんあります。
ここは知るべきこと、読むべき本を教えてくれそうです。
新しい場所に、ご活躍の場を移しても、このブログは
是非続けてくださいね!

投稿: 北風 | 2007/11/20 11:13

北風さん、コメントをありがとうございます。

その後もペースは落としてますが、ブログを続けています。今後もどうぞ応援よろしくお願いします。

新しく設立した出版社「アルテスパブリッシング」のサイトも、どうぞご覧ください。音楽情報、新刊情報もアップしてます。
www.artespublishing.com

投稿: genki | 2007/11/20 11:19

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