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2007/04/17

川島素晴さんと新宿で

 昨夜は新宿で作曲家の川島素晴さんと。これまでもなんどか言葉を交わしたことはあったけど、まるまる3時間お話ししてみて、あらためてそのポジティヴな姿勢にうたれました。

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 川島さんの音楽は、これまで聴いた現代音楽のなかでも、どこか違うものがある。それがなにかということを確かめたいという気持ちもありました。話しているうちに少しわかってきましたが、川島さんの創作のなかには、「音楽史」というものが抜きがたく本質的なものの一部として、ある、ということ。

 もちろん他の作曲家も、音楽史の一部として自分を位置づけ、音楽史といわば格闘するようなかたちで、創作をおこなっていると思いますが、川島さんの場合は、それがもっと軽やかで楽天的。これだけ情報があふれ、いまさら自分で作曲する必要もないくらいに音楽があふれているいま、あえてさまざまな音楽史上の作曲家たちの作品に耳をひらき、そこから得た素直な感動を、創作の源泉にしている。

 もうひとつ、彼の音楽史上の作曲家へのまなざしは、けっきょくその音楽作品だけでなく、その奥にある彼ら作曲家たちの人間性へ向かっています。そこが素晴らしい。なんだかんだいっても、ある芸術家の作品を愛するということは、そのひとを愛するということだから。ことばでいうのは簡単だけれど、その姿勢を貫くためには、自分を徹底的にニュートラルな立場に──ことばをかえれば徹底した孤独に──身をおくことが必要だろうから。

 彼の「演じる音楽」や「笑い」といった外づらは、ともすると、「音楽の価値の相対化」といった側面だけが語られがちですが、逆に彼ほど音楽の絶対的価値を信じている作曲家も少ないのではないか──そんなことを感じました。[genki]

◎川島素晴さんのホームページ
 http://www.komp.jp/

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