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2008/02/29

[日誌:2008/02/28]音楽の身体性

魅せられた身体小沼純一さんから原稿がとどく。いま読みすすめている『魅せられた身体 旅する音楽家コリン・マクフィーとその時代』(青土社)もそうだけど、小沼さんの書くものは概念、知識を集成したものではけっしてない。作曲する身体、演奏する身体、聴く身体、書く身体、読む身体──さまざまな「身体」がおりなすアンサンブルを、その響きだけでなく、軋みとか、痛みまで描き出そうとする。だから、コリン・マクフィーっていう作曲家のことを自分がよく知らないってことも、読みすすめるうえで、まったくデメリットにならない。音楽書の世界では稀有なことだ。たぶん小沼さん、自分の書いているものを「音楽書」とは、あまり感じておられないのだろう。こんどの原稿も、まあ「マイナー」といっていいだろう作曲家が主人公。今年中にはアルテスから刊行できると思います。

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午後から外出。まず郵便局へ。郵便振替口座に入金されたお金を払い出して、通常の郵貯口座へ入金。それぞれに用紙があって、めんどくさい。振替口座への入金はお得意先1社のぶんと、アルテスのウェブサイトから注文してくださった個人のお客さまからの入金だけなんだけど、入金があるたびに2日後くらいに通知が封書で届く。それを弊社では1カ月まとめて郵貯口座へうつしているんだけど、こういうの、ATMとかウェブで即移動することができないかなあ。ぼくらも手間だけど、ゆうちょ銀行のみなさんの手間も何分の一かになるはずなんだけど。

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後楽園にあるSuplexの村山さんの事務所へ。八橋検校本の編集の打ち合わせ。企画、編集から組版、デザインまですべてお願いできる村山さんのような存在は貴重。しかも仕事がはやい!

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080228pamph飯田橋まで歩いて、改札でスズキ隊長とおちあう。『村上春樹にご用心』の刊行を記念して青山ブックセンター本店でやっていただいた内田樹さんと柴田元幸さんの対談が、パンフになった。全国の書店(大型店を中心に懇意にしていただいている一部の書店)に配布して、販促ツールとして使っていただくもの。デザインは岩郷重力さん、2色刷、A3判裏表びっしり!

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武満徹対談選夜は小沼さんのトークイベントを聴きに青山ブックセンター本店へ。ちょうどいらしていた柴田元幸さんや文芸書担当の秋葉さん、音楽書担当の佐々木さんに、パンフやらポップやらお渡しする。

武満徹対談選』(ちくま学芸文庫)発売記念のイベントで、前半は、本に登場するジョン・ケージ、クセナキス、キース・ジャレット、秋吉敏子などの音源を聴きながら、小沼さんが語って、後半は琵琶奏者の中村鶴城さんとの対談。

後半の対談はおもしろいどころではなく、ちょっとこちらの常識がごろごろと音をたててくつがえる感あり。中村さんは鶴田錦史亡きあと《ノヴェンバー・ステップス》の琵琶パートを「継承」した方だそうだが、あの琵琶のパートにはじつは何種類も譜面がある、というおはなし。出版譜はとうぜん西洋音楽のスタイルで五線譜、あるいは図形的な楽譜として書かれているのだけれど、それとはべつに武満さんが鶴田さんのために書いたパート譜、それを鶴田さんが琵琶譜に書きなおしたもの、中村さんがそれを鶴田さんから受け継いだときにつくった琵琶譜……。それだけでなく、共演する尺八奏者が変わるたびに、その尺八奏者の演奏解釈や個性におうじて、譜面を書き直すとのこと。もう、「楽譜ってなに?」という西洋音楽の根本をゆるがす問いにまで発展しかねないはなしである。

西洋音楽のイディオムがここまでグローバル・スタンダードになったのは、あの楽譜システムがかぎりなく「身体性」を排除することによってなりたっているという面が大きいのだろう。それにたいして、琵琶譜などのいわゆる「タブラチュア」は、できるかぎり身体性をのこそう、あるいは身体性をつたえようとする。その発想の違いがまっこうからぶつかった尖端においてなりたっている、奇跡のような名曲が《ノヴェンバー・ステップス》ということになるだろう。はたして、武満徹本人はどこまでそれを意識していたのか。[genki]

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