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2008/06/05

[日誌]八橋校了/伊澤修二/バートルビー

Yatsuhashi八橋検校 十三の謎』がようやく校了! 写真は色校正をてきとうな別の本に巻いてみたところ。本ちゃんはこれにマットpp(つや消しのコーティング)がかかります。装丁は村山守さん。アルテスとしては初の上製本。7月5日発売予定。できあがりが楽しみ♡

ゴールデンウィーク以降、仕事が忙しかったのにくわえて、住んでいるマンションのことでトラブルがあって理事会とタフな交渉を重ねていたので、ほんと、休む暇がなかった。けっきょく武満作曲賞の本選もいけなかったし、川島素晴さんのエクスドットも失礼した。中村鶴城さんのリサイタルもいきたかったなあ……。そんなこんなで、『八橋』の入稿を終えたところでついにダウン。仕事はほどほどに、あとは読書と昼寝。

でも、読書は大当たり。奥中康人『国歌と音楽』(春秋社)は、日本に洋楽を導入したことで有名な伊澤修二を論じたものだが、かれがアメリカ留学中に音楽だけでなく、有名なグレアム・ベルから視話法を学び、東京音楽学校校長につづいて東京盲唖学校の校長も歴任していたことははじめて知った。視話と音楽──かれのなかでその2つがどんな関係をもっていたのかを考えるのもおもしろい。かれにとって音楽とは、日本が近代国家へと脱皮するため、国民の言語を均質化し、天皇=国家の「意志」をあまねく伝達するメディアとして、必要欠くべからざるものだった。以前から、洋楽導入がなぜ「うた」から始まったのか、疑問に思っていたが、めざすものは「ことばの創生」なのだから「うた」でなければならなかったわけだ。だから、かれの視話法への関心にも、必然性がうまれてくるだろう。本としても、構成がしっかりとし、地味なテーマにもかかわらず、ぐいぐい読ませる。著者の力量ももちろん、春秋社の黒田さん、よいお仕事をされてます。

もう1冊は趣味の本^^。エンリーケ・ビラ=マタス(木村榮一訳)『バートルビーと仲間たち』(新潮社)。書名をみて、最初「ビートルズの本か」と思った(笑)。バートルビーというのはメルヴィルの『代書人バートルビー』という小説の主人公だそうだが、この本のなかでビラ=マタスは、「一行も文章を書かなかったソクラテス、19歳ですべての著書を書き上げ、最後の日まで沈黙し続けたランボー、めくるめくような4冊の本を書き、その後36年間私生活の片鱗をも隠し続けたサリンジャー……」(オビより)などなど、「書かない/書けない作家たち」を「バートルビーたち」とよび、かれらがなぜ書かないのか/書かなくなったのか/書けなくなったのかを跡づけてゆく。「異色世界文学史小説」(これもオビより)ということなんだけど、つまり文学的才能が枯渇して/もともとたいしたことなくて、書かない/書けないんじゃなくして、あまりにも才能があるために、この世について書くよりも書かないほうが「創造的」だと判断してしまったひとたちの列伝なのである。書かない/書けない作曲家の列伝なんてものもつくれるのであろうか。筆頭はロッシーニ?

今週末はピーター・バラカンさんがNHK-BS2『週刊ブックレビュー』に出演。『魂(ソウル)のゆくえ』がお茶の間に![genki]

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