2009/08/10

古楽特派員テラニシ016|バッハフェスト2009(ライプツィヒ)

Bach2009_01[写真1]ライプツィヒの中心、マルクト広場に面する旧市庁舎にもバッハフェストの旗がひるがえる。撮影:寺西肇

 大作曲家、ヨハン・セバスティアン・バッハゆかりの古都ライプツィヒを舞台に、彼の作品の紹介と研究成果の発表を目的に、バッハの研究機関であるバッハアルヒーフ・ライプツィヒが主宰する音楽祭「バッハフェスト2009」が、去る6月11〜21日、11日間にわたって開かれた。プログラムは、関連行事も含めれば100以上が用意された。今年のテーマは「バッハ、メンデルスゾーン、そしてレーガー」。バッハの再発見に貢献し、今年がちょうど生誕200年にあたるフェリックス・メンデルスゾーン、そして、ライプツィヒ音楽院の教授を務め、対位法などバッハの語法に大きなイマジネーションを受けたマックス・レーガー。2人の作曲家を通じて、バッハが後世に与えた影響を探ってゆく試みだ。

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2006/12/19

「古楽特派員テラニシ」015──アーノンクールの長〜いリハーサルに潜入!

Dsc01938 古楽界の先駆者で、今やモダン楽器の世界にも多大な影響を与えている指揮者、ニコラウス・アーノンクールが11月、ウィーン・フィル、手兵ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス(CMW)などとともに26年ぶりとなる日本ツアーをおこない、旋風を巻き起こした。

 筆者は、京都公演前日の11月17日、大阪・いずみホールでおこなわれたCMW、シェーンベルク合唱団との、ヘンデルのオラトリオ《メサイア》の6時間におよぶリハーサルに密着し、その緻密な音楽創りを目の当たりにした。

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2006/12/11

「古楽特派員テラニシ」014──ピリオド楽器による「第九」

Pip_061130 ベートーヴェンの交響曲第9番《合唱付き》をピリオド楽器で演奏するステージが、11月30日、延原武春指揮により兵庫県立芸術文化センター大ホールでおこなわれた。わが国でもバロックや前期古典派の音楽をピリオド楽器で演奏する動きは定着してひさしいが、後期古典派となると、機会はまだ少ない。国内外から古楽奏者らを招いて組織したオーケストラ「ピリオド・インストゥルメント・プレイヤーズ(P.I.P.)」は、はたして、どのような響きがするのか──この試みに、筆者もヴァイオリン奏者として参加した。

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2006/10/19

「古楽特派員テラニシ」013──モーツァルトは、バッハをどう弾いたか

Mozartbach  今年はモーツァルトの生誕から250年。これにちなみ、今年4月末から5月初旬にかけて開かれた「バッハフェスト・ライプツィヒ2006」のテーマも「バッハからモーツァルトへ」だった。モーツァルト自身、ウィーン時代にバッハの作品に触れて演奏もおこない、多大な影響を受けている。それでは、モーツァルトはバッハをどのように演奏していたのだろうか。

[写真:モーツァルトが弦楽四重奏用に編曲したバッハ《平均律クラヴィーア曲集》第2巻から第22番(BWV891/2)変ロ短調からハ短調に移調されている

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2006/10/04

「古楽特派員テラニシ」012──大バッハ最古の楽譜

Bach1  大バッハことヨハン・セバスティアン・バッハ(1685〜1750)による最古の筆写譜がこのほど、ドイツ東部のワイマールで発見された。これまで物証がとぼしく謎に包まれていた大作曲家の修行時代の姿が明らかになるものと期待され、バッハ・アルヒーフ・ライプツィヒなどで解析が進められている[写真1:バッハが13歳のころ筆写したブクステフーデの《いまぞ喜べ、愛するキリストの使徒よ》(クリックで拡大)]

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2006/09/13

「古楽特派員テラニシ」011──湯浅卓雄が語るシューマンの交響曲の魅力

Schumann モーツァルト・イヤーの陰に隠れた感もあるが、今年は没後150年のシューマン・イヤーでもある。普段以上にシューマンの歌曲やピアノ曲をとりあげた演奏会もめだつが、これらに比べれば、交響曲の人気はいまひとつ。「オーケストレーションが下手だから」ともいわれるが、はたして本当なのか──。この記念の年に国内で唯一、全曲チクルスに挑む指揮者の湯浅卓雄氏とともに、シューマンの交響曲の真の魅力を探った。

[写真1:ローベルト・シューマン(1810〜56)]

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2006/07/04

「古楽特派員テラニシ」010──ゲヴァントハウス管弦楽団新カペルマイスター、リッカルド・シャイーに聞く

Chailly 世界最古の歴史を誇るオーケストラ、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団のカペルマイスター(楽長=音楽監督)に2005年9月、気鋭の指揮者リッカルド・シャイーが就任。エネルギッシュな指揮ぶりで、彼が指揮台に立つステージはいずれも早くにソールドアウトとなるなど、はやくも古都に旋風を巻き起こしている。若き巨匠は「長い伝統を尊重しつつ、幅広いレパートリーに挑戦してゆきたい」と意欲を語る[写真:インタビューにこたえるゲヴァントハウスの新カペルマイスター、リッカルド・シャイー(2006年6月3日午前、ゲヴァントハウス・カペルマイスター室で) 撮影:寺西肇]

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2006/06/22

「古楽特派員テラニシ」009──〈バッハフェスト・ライプツィヒ2006〉現地レポート

Bachfest01[写真1(←)ライプツィヒの象徴、バッハ像とトーマス教会。撮影:寺西肇]

 大作曲家、ヨハン・セバスティアン・バッハがカントル(教会楽長)として後半生を過ごし、その終焉の地ともなったドイツ東部の古都、ライプツィヒ。大作曲家ゆかりのこの街を舞台に、彼の作品の紹介と研究成果の発表を目的とした音楽祭「バッハフェスト・ライプツィヒ2006」が5月27日から6月5日まで10日間にわたって開かれた。同フェストは、世界各地で開かれているバッハにかんする音楽祭のなかでもとくに権威ある存在として知られているが、今回はなかなか名演にめぐまれず、少し寂しさの残る音楽祭となった。

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2006/06/09

「古楽特派員テラニシ」008──古き良きドイツの誘惑〜ラーベ+パラスト・オーケストラ(2006/05/14)

Raabe 1920〜30年代のドイツのキャバレーで夜な夜な演奏されていた楽曲のかずかずを現代に蘇らせた歌手、マックス・ラーベと、彼が組織したパラスト・オーケストラがこのほど初来日した。優雅で繊細なサウンドや歌声は、はじめて聴くのになぜか懐かしい。「いまベルリンでもっとも注目される歌手」ともいわれるラーベに聞いた。

[写真1:マックス・ラーベとパラスト・オーケストラのステージ。2006年5月14日、兵庫県立芸術文化センターにて]

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2006/05/18

「古楽特派員テラニシ」007──「メンコン」初期稿を読み解く

Mendelssohn 不朽の名曲として知られる、フェリックス・メンデルスゾーン・バルトルディ(1805〜47)作曲のヴァイオリン協奏曲ホ短調(Op.64)。この作品の初期稿を含む新校訂譜が独ベーレンライター社から発刊された(BA9050)。1844年の初期稿が出版譜のかたちで発表されるのは、今回がはじめてだ。同時に収録された決定稿を初期稿と比較してみると、名曲が名曲たるべき輝きを得るまでの過程がかいま見えて、たいへん興味深い。

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